まもなく公開50周年 / EASY RIDER / イージー・ライダー

彼らはアメリカ(自由)を見つけに旅に出た。しかし、そんなものはどこにもなかった。

コカインの密売で大金を得た若者二人が、フルカスタムされたハーレー・ダビッドソンを駆って、マルディグラが行われるニューオーリンズへ旅に出るロードムービー。低予算が故のオール・ロケ(ニューオリンズのカーニバルシーン以外は全てストーリー順に撮影!)という新しい映画の撮影手法を作り、その後のニューシネマ・ブームの基礎、そして現在もロード・ムービーの基準となっているアメリカン・ニューシネマの代表作。アメリカの持つ病み・闇を描き出し、また人間が否応なしに関わらなければならない、様々な形で営まれる「社会」の問題点をあぶり出している。 「アメリカ人は自由を証明するためなら殺人も平気だ。個人の自由についてはいくらでもしゃべるが、自由な奴を見るのは怖いんだ・・・」(ジャック・ニコルソン演じるアル中弁護士の台詞)
バイク、ロック、古着、多くのファンを持つ本作が、2019年に公開50周年を迎えようとしている。

■TRAILER・トレーラー

■MUSIC・ミュージック

1969年というカウンターカルチャーの歴史的にはとても重要な年、社会性・メッセージ性を帯び始めてきたロック・ミュージックとの強固な結びつきによって生まれた、ひとつの現象ともいえる作品。この映画以前の映画音楽は、映画専門の作曲家が作品の為に曲の書き下ろしをしていたが、この作品では既存の楽曲をアーチスト側と交渉し使用許可を得る手法を取っている。この様な手法をとる事が出来た背景にはロック、サイケ等の新しい音楽の登場が大きく影響している。撮影だけでなく音楽という重要な要素にも新しいやり方が使われ、冒頭で流れる曲は、ステッペン・ウルフのTHE PUSSHER。文字通り、ドラッグの密売人の歌。そして、ステッペン・ウルフの代表曲でもあり、いまやバイク乗りのテーマソングとも化している、BORN TO BE WILD“ワイルドで行こう”ヘヴィメタルの語源ともいわれる、HEAVY METALICバイクのモーター音を模したかのようなサウンド。破滅的な高揚感があらわれている。 この映画ではTHE BYRDS / WASN’T BORN TO FOLLOWをはじめ、多くのサイケデリックなカントリーロックが使われている。それらはこの時代を表現する音楽ともいえるが、イージーライダーの世界観とも全く一致している。   ボブ・ディランのMr. Tambourin Manのエレクトリックなカバーで、フォーク・ロックの時代を築いたザ・バーズだが、ドラッグ体験を連想させるサイケデリックの時代を経て(タンバリンマンという言葉も、隠語でドラッグの売人の事)、カントリーミュージックに接近。カントリー・ロックのスター、グラム・パーソンズが加入する6thアルバム「ロデオの恋人」の布石ともなった5thアルバム「名うてのバード兄弟」からの一曲。スティールギターに導かれてはじまる典型的なカントリー・ロック・スタイルのこの曲は、キャロル・キングのペンによるもので、彼女がティーン・ポップの作曲家から、一人のシンガー・ソング・ライターへ変貌する直前の、THE CITYというグループで歌われていた楽曲のカバー。オリジナルのTHE CITYは彼女にダニー・クーチ、チャールズ・ラーキー、ジム・ゴードンという、60年代末から70年代のウェスト・コースト・サウンドの基礎を作り上げたメンバーによるグループ。オリジナルのジェントルで穏やかな雰囲気とは異なり、ザ・バーズ得意のサイケデリック・カントリー・ロックにアレンジが施され、間奏のギターソロではシュワシュワグニャグニャとエフェクトがかけられた、サイケデリックな、幻想のアメリカン・カントリーを描き出し、イージー・ライダーのイメージを決定づけた。ヒッチハイカーを拾い、彼の営むヒッピー・コミューンに向かうシーンがあるが、ここで象徴的に使われるのが、THE BANDの“THE WEIGHT’

この曲がここで使われることの意味は、我々日本人には少しピンとこないところもあるが、THE BANDというグループのイメージや、この曲の歌詞を読むと、少し理解できるかもしれない。THE BANDはメンバーのほとんどがカナダ人のグループで(ステッペンウルフもカナダ出身)、それが故の客観的・批評的な、アメリカン・ミュージックのルーツ探訪と再構築を、当時の最先端のロックの手法で表現したグループ。ロック・シーンに及ぼした彼らの影響力はとても大きく、エリック・クラプトンなどの、いわゆるレイド・バックしたスタイルや、60年代末から70年代を通じての、R&B+カントリー+R&Rといったグルーヴィなミクスチャー・ロックへの貢献は、全て彼らのアイデアが基本にあると言っても過言ではない。また、どこの地域や民族の音楽のルーツを探るにせよ、その成り立ちや歴史的なものを捉えようとするときに避けては通れないのが、宗教や信仰の問題、特にアメリカにおいてはキリスト教の問題。まさにこのTHE WEIGHTという曲は、キリスト教あるいは聖書に基づいた歌であり、タイトルのウェイトとはイエスの背負ったものの重さを表している。そして自らをイエスになぞらえた歌の主人公は、安息の地を求め旅をするといった内容の歌なのである。そういったバックグラウンドを考えると、この曲が使われている部分のエピソードに深みが帯びて来る。この映画全体を通して見え隠れする、アメリカの闇のひとつは、宗教問題であり、キリスト教に基づいた社会のありようなのかな、と解釈できる。そしてまた印象的なエピソードの始まりに使われる曲が、この映画を通じて使われる唯一の黒人ミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスの曲である。

 ジミ・ヘンドリックスは、リトル・リチャードのバックバンドなどセッション・ミュージシャンを経てアメリカからイギリスに渡り、1970年にジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスというバンドでデビューした。歌詞は、保守的な人達がなんと言っても自分は自分の世界を貫き通すのさ、といったこの時代の保守本流へのカウンター宣言ともとれる内容となっています。

■LOCATION・ロケーション

オープニングの麻薬取引シーンになるロサンゼルス国際空港

フォンダが、Rolexを地面に投げつけるシーンとなるゴーストタウン”バラーラット” ホッパーとフォンダが許可無しでパレードに参加した罪で留置所に入れられJ・ニコルソンに出会う町”ラス・べガス”。ちなみにカジノで有名な町ではない。

■TRIVIA・トリビア

★使用されている楽曲以外にも、ロック・ファンにはちょっと嬉しい出演者がいる。チャーミングな娼婦役で出演していたトニー・バジルは、ダンサーとしても有名だが、1982年に「MICKEY」の大ヒットを飛ばしている。一昔前にCMで使われたり、日本のバラエティ番組でもカバーされていたので覚えている人も多いのでは。また、このいわゆるニュー・ロック世代の映画冒頭で、マフィア役として旅の資金となる大金をコカインと引き換えに渡したのは、60年代の始めに生まれて間もなかったR&Rをビッグ・ビジネスに育てた大プロデューサー、フィル・スペクターだったというのが、ロック史的にとても示唆に溢れていて、なんとも感慨深い。

★あの”チョッパースタイルのハーレー・ダビッドソン”キャプテン・アメリカ号”が競売(2014.Oct17-20)に!EasyRider CaptainAmerica

予想落札価格は1億2千万ドル!!オークションを主催する「プロファイルズ・イン・ヒストリー(Profiles in History)」 をチェックしてみては!

■DETAILS・作品詳細

作 品 名:East Rider/イージー・ライダー
公   開:1969年
制 作 国:アメリカ
上 映 時 間:121分
監   督:デニス・ホッパー
キ ャ ス ト:ピーター・フォンダ/デニス・ホッパー/ジャック・ニコルソン

 

Share on Facebook0Pin on Pinterest0Tweet about this on TwitterShare on Tumblr0Email this to someoneShare on Google+0

COMMENT

NEW ARTICLE

ARCHIVE

Instagram#hictp

CINETRIP

© 2019 映画を旅する | CINETRIP(シネトリップ).